1,000万円の借金を抱え、借金を借金で返す自転車操業が貸付停止で立ちゆかなくなり、債務整理を検討することになったAさんのお話です。
Aさんは、債務整理についてひととおり勉強し、自分に向いているのは小規模個人再生ではないか、ということで自分なりの方向性を持って、いよいよ弁護士事務所の門を叩くことにしました。
とはいうものの、どうやって弁護士事務所を選べば良いのか…。これから、そんなAさんの「専門家選びの旅」が始まります。

もくじ
ありがちな選択…とりあえず大手事務所へ
債務整理に関する弁護士事務所の選び方なんて、当然、身近な人には相談できません。
そこで頼りになるのが、やはりメディア。
テレビ・ラジオCMなどもそうでしょうが、この時代は、やはりインターネットに頼る人が多いのでしょう。現にこのブログも、そういった人に対して、少しでもお役に立てればとの一心で、情報発信をしていますし。
ということで、Aさんはあまり深く考えずに、債務整理に関することでインターネット検索を行い、出てきた結果の情報が充実している大手弁護士事務所に、まずは電話をすることにしました。
「テレビCMも見たことがある事務所だし、ここなら大丈夫かな…」
そのときは、それなりの自信と、安心感がありました。
ということで、私は、ホームページに載っているフリーダイヤルに電話をしました。電話越しには、優しい女性の声。Aさんは安心して事情を説明し、まずは面談の予約を行います。たまたま、翌日の昼間が空いているとのことでしたので、私はその時間でアポイントをとりました。
電話越しの女性の方は、事務員さんとお見受けしました。その方から、
という説明を受けました。
これらを前日のうちに準備し、借入状況等が分かる書類については、Excelで借入先、契約日、利率、限度額、借入残高、月々の返済額を表にしてまとめておきました。
準備は万全。借金に苦しむ日々とサヨナラできる期待を胸に、Aさんは眠りにつきました。
まずは債務整理の概要説明
ということで、翌日、Aさんは弁護士事務所を訪問。さすが大手の弁護士事務所、都心の一等地にオフィスを構えていました。
緊張しつつも、大変愛想の良い女性事務員さんの誘導に従って、相談用の個室へと入っていきます。事務所内は、良くも悪くも無機質で、「これぞオフィス」って感じの雰囲気でした。

その後、しばらく待っていると、別の事務員さんが登場しました。この方もまた、女性です。
さて、事務員さんは、Aさんに対して、債務整理の手段として、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあることを私に説明しました。

資料に基づく、手慣れた様子の説明でして、Aさんはひととおり聞いた後に、
「あらかじめ私も調べてきたので、小規模個人再生を前提にお話をできればと考えています」
ということを伝えました。
Aさんは当然、「では、弁護士の先生と一緒に、今後の方針をお話ししたいと思います」というふうになるのだろうと想定していたのですが…
実際はそうではなく、ここから先は、思っていたのと全く違う展開でした。
執拗な任意整理への誘導
えっ???
…???
確かに、小規模個人再生の場合、ローン購入物品は引き上げられてしまう可能性があるというのは認識していました。Aさんはその点について、詳しく話を聞くために来たつもりだったのですが…。
「加えて、小規模個人再生は官報に載りますので、世間にバレるリスクなどもありますよ」
と、とにかく事務員さんは、小規模個人再生のデメリットを強調し、任意整理への振り替えを強力に勧めてきます。
「うーん…これで大丈夫なのだろうか」
Aさんは、不安が頭をよぎります。
「弁護士」事務所?対応はすべて事務員さん
と、ここで、Aさんは、一つのことに気づきます。
「あれ?こんな大事な話なのに、弁護士さんではなく、事務員さんが話をずっと続けてるぞ。おいおい、弁護士さんはいつ出てくるんだ?」
Aさんは、債務整理の方向性という根幹にかかわるところで、弁護士さんのお話が聞けていないことに、大変もやもやしています。
しかし、事務員さんは、
この一点張りです。

家計の持続可能性も鑑みず…
そうは言いつつも、話を少しでも前に進めたい側面もあったので、Aさんは引き続き、相談を続けてみることにしました。
「ちなみに、任意整理だと、月々の支払はどれくらい軽減されるんですか?」
と尋ねると、事務員さんは機械的にExcelをたたき、
とのこと。ここで、Aさんは考えます。
「いや、確かに安くなったけど、月々18万円の返済では、今後の家庭生活が持続可能になるとも思えない。加えて、この状況を、弁護士さんではなく、事務員さんに説明されていることも、今ひとつ納得がいかないぞ…」
どんどん、私は不安になっていきます。ただ、一方で、Aさんは新たな借入を停止されており、この状況では、次の借金の返済期日が来た時点で、チェックメイトになってしまう…。
サインの時だけ登場する弁護士
Aさんは、もやもやを抱えつつも、とりあえず、任意整理の方向で話を進めることとし、その旨を事務員さんに伝えました。
すると、ここでようやく弁護士さんが登場。しかしながら、弁護士さんと具体的な債務整理に関する相談や議論は一切なく、ただ契約書のサインに立ち会うだけ。
どうやら、この大手弁護士事務所、基本的には事務員さんと話を進め、最後の契約のときだけ、弁護士さんに変わるシステムのようです。
これ、あまり筋の良くない不動産屋さんで、宅建資格所有者が重要事項説明書のところだけで登場するパターンと似たような感じです。

【まとめ】大手弁護士事務所への不安…
今回、Aさんが大手弁護士事務所へ相談に行ったときの様子をご紹介しましたが、Aさんの話には、次のとおり、不安になる点が見受けられました。
- 小規模個人再生を否定し、やたらと任意整理を押してくること
- そのことで家計が改善しないことを顧みてくれないこと
- 何より、弁護士さんがほとんど登場せず、事務員さんしか話をしてくれないこと
大手弁護士事務所は、効率的に債務整理案件をさばくため、ある程度ルーティン化されている初期相談業務については、弁護士ではなく事務員さんに前さばきをさせていることが多いようです。
また、債務整理の手法についても、手間のかかる自己破産や小規模個人再生ではなく、任意整理を強く推してくる傾向にあります。
そのため、Aさんのように、自分なりに考えて、弁護士さんとしっかり意見交換をしたい相談者の方にとっては、大手弁護士事務所は相性が悪く、かえって不安を感じてしまうのが実情です。
後ほど別原稿で詳しくご紹介させていただきますが、債務整理については、大手弁護士事務所ではなく、個人〜数名のチームで運営されている、中小規模の弁護士事務所や司法書士事務所へ相談した方が、きめ細かい対応をしてもらうことができ、結果として満足度の高い債務整理を行うことが可能になります。
当ブログでも、おすすめ弁護士事務所・司法書士事務所を下記リンク先にてご紹介していますので、ぜひこちらから、まずは相談の一報を入れてみて下さいね。